最近よく耳にする『FIRE』
“Financial Independence, Retire Early”の文字通り、十分な資産を築いて経済的に自立して、早く退職して悠々自適な生活…というやつですね(だいぶザックリ)。
今回紹介するのは『1万回生きたネコが教えてくれた幸せなFIRE』という本。
ブロガーなら知らない人はいないであろうヒトデさんの新刊です!
ゆる副業はずっとバイブル。
はじめに
あなたは『FIRE』したいですか?
私はFIREしたいとは思いません。羨ましいとは思う。
「FIREなんて考えられない!」というのが適切な表現かも。
それだけの稼ぎを得て、十分に資産を築くイメージがサッパリわかない。
身の回りにFIREを目指している人も、叶えている人もいない。
少しだけ自分の話――
自分の中では『仕事=ツライ』というのが基本的なイメージで、まして人間関係や仕事の内容、労働環境に左右される要素が大きい。
日々いろんな圧力に揉まれながら、山盛りのストレスを抱えて我慢ばかり。
それでもやっと毎月の生活が回る程度の収入を得るのが精一杯ともなると『労働…冗談キツイぜ…くそ!!!』と毒づきたくもなる。
頑張りに対する対価が見込めないのに、必要以上に頑張りたくない…。
前の仕事でいろんな経験をして心身を壊した。
うつ病になって働けなくなって、ほとんど寝たきり&引きこもりだったころを思えば、外に出て誰かと仕事をするという行為は社会の歯車の一部としてではあるけれどつながりを感じられる。
なにより『フツーに働けない自分やべぇ。ゴミじゃん…』と落ち込まずに済む!
自分の心身の健康を考えるのであれば、仕事の内容やペースはもう少し自分で手綱を取れる方が安心できるよなぁ…というのはここしばらくの悩み事。
だからこそ、自分の心身の健康や、もしかしたらまた働けなくなる時期があるかも…といったリスクを考えたとき、もっと経済的に余裕をもって安定感のある自立状態を目指すべきだと常々思う。
この本を読んだのも「FIREしたい!」というわけではなくて、ブログを始めるきっかけをくれた人の本が新しく出るから読んでみよう~くらいの感覚。
はたして、この延長線上にFIREへの意思が見えてくるのか。
まぁ、自分には遠い世界のそのまた夢の話だよなぁ…なんて思いながらページを繰った――
『1万回生きたネコが教えてくれた幸せなFIRE』感想
読み始めてすぐ、私も「小鉄」と出会った。
ニンゲンの言葉を操り、記憶を共有する能力のある風変わりなネコ、小鉄。
智也さんと一緒にいろいろなことを教えてもらった。
全章にFIREの成功例と失敗例の物語が入れ込んであって、FIREについて理解が深くない私でもそれぞれの状況を想像しながら読み進めることができました。
1章、2章は「どうFIREを目指すか」がメインだったので、ひとつの小説のように、どこかのだれかの話を離れたところから聞いている気持ち。
第3章から、どこかの物語は“自分事”にチェンジ!
よりいっそうグッと引き込まれる内容になっていました。
「何かやらなきゃと思ってはいるけど大して行動を起こしていない人」ほど刺さるはず。
私はグサグサきました…!(いい意味で)
方法はあるのになぜやらないのですか?
“極端な節約”や“投機(≒ギャンブル)”を避けて、いまの調子で地道に積立て投資を続けるだけでは、思い描いたFIREには届かない事実に直面した智也さん。
小鉄の助言は『リスクをとること』
私も智也さんと同じ反応で、大きい資産を得るためには、ある程度綱渡り要素が必要なんじゃん…となりました(゜-゜)(笑)
一方で小鉄が言うことには、けしてギャンブル的なものではなく『仕事でリスクをとれ』、と。
ようするに、転職や副業など、いまより収入アップが見込めることには失敗を恐れず挑戦するべし!ということ。
「でもスキルがないし…」と後ろ向きな智也さん。
スキルがないなら身につければいいじゃないですか。
いまは無料で学ぶ方法だってたくさんあるのにどうしてやらないんですか?
…痛い。心が。ほんとそれ。
- やらなきゃ
- やりたい
- やったほうがいい
頭の中はこんなことで溢れているのに、忙しいとか疲れているとか理由をつけて、自分自身を追い込んでまでやることってほとんどありません。
もちろんその時々の心身のコンディションもあるし、その瞬間の優先順位もあります。無理は禁物。
それでも、結局は「やらない≒やりたくない」で、正直に言えば「やる気<めんどくさい」になっているだけなのでこれは本当に納得!(※私の場合)
挑戦の結果がいつも報われるとは限らない。
それでも、挑戦の過程で得られるものは必ずある。
反対に失敗してしまったとしても、莫大なお金を失うわけではない。
せいぜい費やした時間を失うだけ。
うまくいけばスキルも身について、いまより収入アップも見込める!
単純マンなので、これだけでも「お。なんかやってみよう。」となります。
どうしようか迷っていた資格の勉強をはじめました!
頑張ってもうまくいかなかったらどうしよう!無駄じゃん!( ノД`)
こう思うのは自然なこと。
ただ、そこで尻込みせずに『無駄になるかもしれないけど、頑張ってみる』というリスクを積極的に取れるようになりたいものです。
そのためには、ふだんからアンテナを張っておかなければいけないし、「これだ!」とひらめいたときに突っ込めるように準備をしておかないといけない…!
あれも嫌・これも嫌!でやっていけるほど世間は甘くない(お金は生めない)ので、「これなら頑張れそう!」という方法や方向性を見つけてやっていこう。
念願のFIRE。達成したのに“幸せ”じゃない!?
目標額まで資産を築いて、仕事も辞めて、好きな時に好きなことをする…第三者から見れば羨ましい生活に思えるものの、当事者たちはどこか空虚な気持ちを抱えている様子。
仕事を辞めるために仕事を頑張って、念願叶って辞めた。
FIRE生活は自分のやりたいことや好きなことで満たされているはずなのに、意識はやっと抜け出せたはずの“仕事”へ向いてしまう…どうしてでしょう。
この部分には状況は違うもののかなり共感。
冒頭でも書きましたが、病気で仕事や職場を離れている間、離れれば離れるほどに意識が仕事に囚われていきました。振り返ってみれば、社会性が薄れ、時間だけが溢れていたからだと思います。
FIREして自由な時間やお金が増えて好きなこと(≒趣味など)に費やす時間が増えるほどに、週末の楽しみだったことが1日中できるようになり、年に数回の贅沢だったことが毎月できるようになるせいで「好き」「興味」の消費のスピードが速くなるそうな。これも納得。
小鉄が言うには、この“空虚さ”の正体は、いままで社会の一員として仕事をすることで保たれていた社会とのつながりや目的・目標、日常生活の中での刺激や自己実現感がうまく得られなくなったことによるものらしい。さらに、こればかりはお金と時間では手に入らないときた!
「せっかく苦労してFIRE達成したのに、手放しで幸せじゃないんかーい!」と何とも言えない気持ちになりました…(笑)
じゃあどうするの?となったとき、
- 社会とのつながりをキープ
- 目標に向けての努力、達成感を味わう
- 自己実現感や社会に貢献している気持ちも味わう
といった人生のスパイス的要素を一気に解決できるのが“仕事”!
ネコは、気の向くまま好きなことだけして生きる≒幸せ
ニンゲンはそうはいきません
人間が幸せになるためには
- 心身の健康
- 成功の高揚感
- 人や社会とのつながり
これらが不可欠で、仕事で充足できるのが理想なんですね。
となれば、“仕事”に対しての価値観を
仕事=我慢すればお金がもらえる
↑から
仕事=社会(≒他の誰か)の役に立つと、その対価としてお金がもらえる
に変える必要があって、まずはそこを目指す方がよさそう。
これはFIREが目標でなくても大事な考え方だなと思いました。
働かないと来月の自分が生活できないから…と必要に迫られて義務としてこなしがちな仕事を、
- 自分は何がしたいのか
- どうしたらできるか
- 効率を上げる方法はないか
などなど少しでも自分が苦しまずに楽しむ方向に意識を向けることができれば、1日の3分の1の時間はもっと前向きに過ごせる✨
FIREを達成した人も、結局は自分がやりたいことを仕事として取り戻していくならば、FIRE未達成の人はいまの仕事を楽しいものに変えていく方がよさそうですね!
いつかのFIREのために嫌な仕事を我慢するのではなく、FIREした後に自主的にやりたくなるようなことをいまのうちから磨いておく。そのために必要なスキルを身につけるために努力をする。ここがかなりいいヒントになりました。
おわりに
物語の兼ね合いもあるので中身に触れるのはこのあたりまで。
ふだん本を読まない人や、自己啓発本やビジネス書はニガテ…という方にも安心して読んでほしい1冊です。
題名にFIREがついていますが、「〇〇の銘柄をこんな買い方しなさい」とか、FIRE(を目指すための資産運用の仕方など)は書いてありません。
この本を読んだ後は、「人の方法を鵜呑みにして、言われたとおりにやればいいや」というやり方に少し疑問を持てるようになっているかも。
実践的な投資方法などを知りたい方は、別の本を読む方がいいです。
- なぜFIREを目指すのか
- どのように実現するのか
- 実現するためには何をした方がいいのか
それこそ種銭も不要で、自分の心がけ次第で行動を変えていけるヒントがたくさん散りばめられています。
読み終わった今でも、「FIREは夢の話だ…」という意識までは変わっていませんが(笑)💦
背伸びしないで自分にできそうな部分から取り組みます!
少しでも早く、「好き!」「これがやりたい!」と一緒に生きていけるように。